エピソード.2「メキシコのタコスとアメリカのタコス」

タコスってどんな食べ物ですか?
そう質問された時にどのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。
一口にタコスと言っても、「メキシコのタコス」と「アメリカでアレンジされたタコス」では大きく違いがあります。今回は、その違いについて学んでいければと思います。
◎メキシコのタコス
タコスはメキシコの伝統食で、国民食とも言えるものです。
トウモロコシから作られた皮(トルティーヤ)に、肉などの具をのせて、トマトや玉ねぎ、唐辛子を刻んだソース(サルサ)をかけ、二つに折りたたんで食べる軽食です。
メキシコシティでも歩いていると本当にありとあらゆる場所にタコスを提供するお店があり、それは屋台なのか庶民向け食堂なのかレストランかの違いはありますが、中心地に至っては歩いていると1~2分につき1店舗(もしくはもっと)タコス屋さんを見つけることができます。軽食として最適なので、メキシコの人たちは何時であろうと関係なくタコスをほおばっています。
メキシコのタコスの特徴は以下の通りです。
・トルティーヤが柔らかい(ソフトシェル)
・とうもろこし原料のトルティーヤ(コーントルティーヤ)
・ミンチ肉を使用していない(筆者が現地で確認した限り)
・玉ねぎ、パクチーが無料トッピングの定番(抜きにもできる)
・ライムを絞って折りたたんで食べる


◎アメリカでアレンジされたタコス
アメリカのタコスの代表は、トルティーヤを油で揚げてU字型に成形した皮(タコシェル)に、チリ味のひき肉(チリミート)とレタスなどをはさんだもの。これはアメリカ式にアレンジされたタコスです。
メキシコの隣にあるテキサス州に移り住んだメキシコ人が持ち込んだ料理がアレンジされ、テックス・メックス(TEX-MEX)料理というアメリカ風メキシコ料理が誕生しました。
テックス・メックス料理は世界中に広がり、アメリカ式タコスを本場メキシコの味と思っている人も多いようです。
そもそもタコスの具としてよく知られているチリミートは、メキシコ料理ではありません。これは、チリパウダーというブレンド香辛料(クミン、オレガナ、ガーリックなど)が使用されており、代表的なテックス・メックス料理の代表的な味付けなのです。
もともとのメキシコ料理は香辛料を使わず、何十種類もの唐辛子を使って調味しました。しかし最近は味の国際化が進み、香辛料も多数使用され、チリパウダーも料理に取り入れられています。
日本でも、沖縄ではタコスが比較的一般的で、タコス屋さんも多いですがアメリカでアレンジされたタコスの方が多数派です。これは米軍基地から広まったものかと思われます。
ちなみに、タコライスに関する私見ですが、これはテックス・メックス料理が更に沖縄でアレンジされたものかと思われます。tacoの複数形がtacosであり、タコライスのタコも語源を辿ればメキシコのtacoに行き着きますが、メキシコ人に言わせるとタコスにはトルティーヤが必須だそうです。
アメリカのタコスの特徴は以下の通りです。
・U字型の油で揚げたトルティーヤ(ハードシェル)
・具材の肉は味付けされたミンチ肉
・一般的に使用される野菜はトマトとレタス


(注釈)筆者は、アメリカのタコスに関してそれほど詳しくありません。間違った情報がありましたら大変申し訳ありません。
次回、エピソード.3は「トルティーヤ」についてです。